事例のご紹介

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
マッシュルームを活用した口腔ケアの実現へ
プロジェクト・ストーリー
レクチンの機能性に着目

 現在、日本人の死亡原因の第3位が肺炎です。なかでも食べ物や飲み物、胃液などが誤って気管に入り込み、それらに含まれる細菌が肺の中で増殖して起こる誤嚥(ごえん)性肺炎は、高齢者の肺炎の約80%にものぼります。それは、高齢者になると飲み込む力である嚥下機能が低下することや、口腔内細菌を減らすための手入れが充分にできないことなどが要因です。
 こうしたことを背景に、口腔内細菌の初期付着予防の研究を続けてきた岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の高柴正悟教授と、当時まだ修士課程院生であった伊東孝さん(現在は岡山大学病院新医療研究開発センター 特任助教)たちのグループが、医薬品やバイオ関連の研究開発を行う(株)医学生物研究所と協同で研究を進め、口腔ケアの新素材としてマッシュルームから抽出したタンパク質・レクチンがもつ機能性に着目。レクチンに複数の細菌の集合体であるバイオフィルム形成を阻害する働きがあることを発見し、平成22年10月に学会で発表しました。

イノベーション・ポイント
地元産のマッシュルームを活かして

 学会発表の後、記事を見た岡山県内のマッシュルームメーカー(有)三蔵農林から伊東さんのもとに協力の申し出があり、廃棄していたマッシュルームの石づきの提供を受けることになりました。ここは、50年前からマッシュルーム生産をはじめ、独自の栽培技術を確立して堆肥製造からマッシュルームの植菌、栽培、収穫、出荷まで一貫生産を行い、現在では国内シェア約40%を誇る有数の企業です。
 (有)三蔵農林との連携によるマッシュルームの安定供給をきっかけに、伊東さんたちはレクチンの実用化に向けて研究をスタート。平成23年に抽出技術を確立し、工場での量産化を可能にしました。そして平成24年には食品の原料として流通させるためにエビデンスを確立し、安全性の確保を実現。現在は食品を試作し、人レベルで評価を行う段階となっています。

今後のビジョン
機能性食品などの実用化を目指して

 試作品のひとつが、岡山県の特産品である吉備団子に粉末状のレクチンをまぶしたもので、地元の食品メーカーと開発を進めています。岡山県産のマッシュルームと岡山県特産品のコラボレーションによって、まずは地元から発信し、いずれは全国展開へ。平成28年度中にはおいしく食べながら口腔ケアができる機能性食品の商品化を目指して、コラボレーションする企業を模索しています。さらに、次のステップとして医薬部外品としての実用化も目指します。

担当者の声
「マッシュルーム由来のレクチンともマッシュルーム生産者とも、偶然のめぐりあいです。この出会いがあったからこそ、プロジェクトを進めることができました。ぜひ成功させて、とくに高齢者の健康長寿に貢献したいと思っています。」

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