研究開発・新技術部門

  • 「ヘルシオお茶プレッソ」で茶葉を挽いてまるごと飲む新しい習慣を提案 シャープ株式会社
  • 太陽光植物工場の生産性を高める「植物生育診断装置」 井関農機株式会社 国立大学法人愛媛大学
  • 日本初の本格的なバニラ栽培「Vanille de Kurume」 有限会社金子植物苑
  • 塩害農地の復興に取り組む「東北大学菜の花プロジェクト」 国立大学法人 東北大学大学院 農学研究科
  • 健康志向の強い消費者にアピール低糖質パン用ミックス粉「パン de スマート®」 鳥越製粉株式会社
  • ダイレクトGel転換による新規食品素材「米ゲル」の開発 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所

最優秀賞

「ヘルシオお茶プレッソ」で茶葉を挽いてまるごと飲む新しい習慣を提案

所在地 大阪府大阪市阿倍野区長池町22-22
電話 06-6621-1221(大代表)
URL http://www.sharp.co.jp/ocha/

茶葉の栄養成分を捨てずに飲める、食べられる

デジタル情報家電や電子デバイス、また「ヘルシオ」ブランドで調理家電などを製造、販売するシャープは、2014年4月、「ヘルシオお茶プレッソ」を発売した。茶道をヒントに「挽く・沸かす・点てる」を1台で賄うので、まず、臼となる部分で茶葉を挽き、粉状にした茶に適温に沸かした湯を入れて、茶せんで点てるように回転はねでていねいにかき混ぜる。すると、茶葉の栄養成分がまるごと入った、香り、のどごしの良いお茶ができあがる。緑茶のほか、ほうじ茶、紅茶なども、それぞれ温、冷、ラテにして飲むことができる。挽いた茶葉を料理に活用することも提案しており、お茶プリンやケーキ、お茶ふりかけなどを作ることもできる。
発売前の計画では月4,000台の販売を見込んでいたが、各メディアに取り上げられたことから注目を集め、2014年上期の生産は11万台の大ヒットとなった。発売当初から、全国の茶イベントに参加して、茶葉の消費に一役買っている。

好きだけど急須で飲まない30代に響いた

予想を大幅に上回る台数の販売に至った理由として、潜在ニーズにうまくマッチしたことが大きかったとシャープでは見ている。
緑茶は、年代や性別を問わず8割以上の人が好むことがわかっているが、20代、30代では毎日急須で緑茶を淹れて飲む人の割合は2、3割と低い。それもあって発売前は、購入者の7割が50代以上の消費者ではないかと予想していた。しかし、実際の購入者は、50代が30%、60代が24%で、次に多いのは30代の21%であった。
急須を使う習慣がなく、緑茶を飲んでいなかった若い年代層にアプローチできたことで、新たな日本茶普及の糸口を見つけた格好だ。

約20ミクロンの粉末で口当たりがすっきり

もともとは、ヘルシオシリーズにコーヒーメーカーを加えることを検討していた。しかし、健康とおいしさをコンセプトとするヘルシオブランドで売り出すなら、断然、緑茶に魅力があると考え、お茶メーカーの開発をめざすことになった。開発を始めた当初は、コーヒーメーカー同様に、セットした茶葉に湯を注いで、下の容器に抽出するものを考えていたが、この方法では急須で淹れる場合と比べ、機械化するメリットが少なく、特長が出しにくいことがわかった。
そんななか、急須で淹れた場合、カテキンやビタミン類など健康に寄与する茶葉の栄養成分は、約30%しか抽出できておらず、茶葉に残った約70%は廃棄されてしまうことがわかった。それでは「もったいない」との思いから、茶葉をまるごと使う方法にアイデアを絞った。
また近年、抹茶を使った菓子などが静かなブームを呼んでいたことから、料理に粉末茶を使えるようになれば、喜ばれるのではないかとも考えた。茶葉を粉状に挽く機能と点てる機能とを分けて操作できるデザインを採用した。

開発に当たっては、抹茶の製茶工場を訪ねて見学したり、話を聞いて参考にした。その過程で、抹茶のおいしさの秘密のひとつが石臼で挽くことにあると考えた開発陣は、セラミック製の臼の回転数を1分間に約100回とゆっくり回すように設定。粒径を約20ミクロンまで細かくすることで、冷水でもよく溶けるようにし、さらりと口当たりの良い飲み心地を実現した。
2014年9月には臼の部品を別売りで用意して、臼をその都度洗わなくても何種類ものお茶を楽しめるよう工夫した。
今後は、家庭用以外にも幅広い市場に向けたラインアップも検討している。

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優秀賞

太陽光植物工場の生産性を高める「植物生育診断装置」

井関農機株式会社 国立大学法人愛媛大学
連絡先 井関農機株式会社
所在地 東京都荒川区西日暮里5-3-14
電話 03-5604-7748
URL http://www.iseki.co.jp/
e-mail repre@iseki.co.jp

トラクタ、田植機などを製造、販売するほか、植物工場などの設置を手がける農業機械総合メーカーの井関農機は、植物工場内で植物の光合成状態を自動診断する「植物生育診断装置」を愛媛大学と共同で開発した。広大な工場内のエリアごとに、光合成反応の活性度をデータ化する装置だ。現在、植物工場では人が植物の生育状態を確認し、環境制御装置を調整しているが、この装置により、光合成反応が低いなど、目では判別できない植物の状態も計測でき、病害虫などのトラブル防止や、エリアごとの環境の最適化も期待できる。
さらに、工場内を回って生育状態をチェックする必要がないので、管理の省力化も図れる利点もあり、作物の生産性向上、安定生産に寄与する画期的な装置として注目されている。
現時点での対応作物はトマトのみだが、今後パプリカやピーマン、きゅうりの生育計測にも利用することを検討している。

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優秀賞

日本初の本格的なバニラ栽培「Vanille de Kurume」

有限会社金子植物苑
所在地 福岡県久留米市藤山町1731-1
電話 0942-22-8483
URL http://vanilla-de-kurume.com/
e-mail info@vanilla-de-kurume.com

観葉植物のレンタル、リース業、花卉(かき)生産業などを手がける金子植物苑では、2009年から本格的に国産バニラビーンズの生産に取り組んでいる。熱帯作物であるバニラは日本ではほとんど栽培された例がなく、極力地球環境に負荷をかけずに冬越しをさせる方法の開発など手探りの挑戦が続いたが、それが生産者同士の連携を深め、現在では“顔の見える関係”をベースに、栽培から加工までを手がけている。また、国内にはバニラに適した農薬もなかったために独自に工夫して、安全性の面でも優れた栽培法を開発した。
日本ならではの発酵技術を応用した独自技術の開発にも成功し、「久留米バニラ」として販売。九州の温暖な気候条件によって、早いものは開花した年のクリスマスにはバニラビーンズに仕上げられる。世界で唯一、年内出荷が可能で、“バニラのボジョレー・ヌーボーをめざす”と意気込んでいる。年ごとの味の違いや鮮度にこだわったバニラ栽培を追求し、海外で国産バニラビーンズの評価を高めていきたいとしている。

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優秀賞

塩害農地の復興に取り組む
「東北大学菜の花プロジェクト」

国立大学法人 東北大学大学院 農学研究科
所在地 宮城県仙台市青葉区堤通雨宮町1-1
電話 022-717-8929
URL http://www.nanohana-tohoku.com/
e-mail nakai@bios.tohoku.ac.jp

東日本大震災で津波に冠水し、塩害に悩まされている被災地の農地復興を目的として、残留塩分の多い土壌でも生育する菜の花の育種研究を行っている。2011年4月、東北大学大学院農学研究科の有志教員が、各方面の支援を受けながら、産官学の連携プロジェクトとして立ち上げた。
同研究科は、世界で唯一のアブラナ科植物のジーンバンクを保有する機関で、この遺伝資源を利用して、耐塩性に優れた品種の研究開発に取り組んでいる。同時に、塩害農地の徹底した土壌調査を行い、最適な品種の選抜に取り組んでいる。
すでに、アブラナの一般品種を塩害農地で栽培しており、食用菜の花や、食用油などの食品、プリザーブドフラワー、キャンドルなどの商品開発のほか、バイオディーゼル燃料の製造も行っている。ナタネを中心としたエネルギーの地産地消、ナタネの茎葉や搾りかすなどの資源循環、耐塩性品種の利用などをめざした態勢づくりを進めている。

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優秀賞

健康志向の強い消費者にアピール
低糖質パン用ミックス粉「パン de スマート®」

鳥越製粉株式会社
所在地 福岡県福岡市博多区比恵町5-1
電話 03-3633-6593(東京営業所)
URL http://www.the-torigoe.co.jp/
e-mail y-yamamoto@the-torigoe.co.jp

小麦粉、ライ麦粉、プレミックスなど製パンおよび製菓用原材料などを製造、販売する鳥越製粉が、香ばしく焙煎した小麦皮の微粉末と小麦タンパクを主成分とする「パン de スマート」を、低糖質のパン用ミックス粉として開発した。外皮も利用しているので、穀物全部を食することが可能である。
さらに、ローソンイノベーションラボと協力し、パン de スマートに特殊製法を施した国産米の米糠を使用した新製品、低糖質のパン「ブランパン」シリーズを発売した。これにより、米糠を年間100トン使用することができ、国産穀物の消費拡大に寄与している。現在15品目を販売しており、健康志向の強い中高年や、美容効果を期待する女性にも人気だ。
肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病を患う人の増加が懸念される今日、その予防に貢献することもめざしている。

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優秀賞

ダイレクトGel転換による新規食品素材「米ゲル」の開発

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
食品総合研究所
所在地 茨城県つくば市観音台2-1-12
電話 029-838-8047
URL http://www.naro.affrc.go.jp/nfri/
e-mail kgel@ml.affrc.go.jp

食品総合研究所は新規食品素材「米ゲル」を開発した。多収性品種の高アミロース米を原料に、水を加えて炊飯、糊化、高速せん断撹拌をする「ダイレクトGel転換」によってゲル状にしたもので、水分や温度、撹拌条件を変えることで、やわらかいゼリータイプから高弾性のゴム状までさまざまな物性を持つ食品素材に調整できる。米粉とは異なる素材としての活用が可能で、洋菓子、パン、麺の原料として利用できる。高アミロース米から作れること、また米粉への粉砕コストを削減できることから、米粉を利用した場合に比べて、大幅なコストダウンが見込める。さらに、小麦粉やゼラチンを使わない代替食品、たまごや油脂を低減した低カロリー食品への利用も期待される。
現在、農林水産省の実用技術開発事業にて研究を推進しつつ、民間企業とも共同研究契約を結び、実用化に向けて推進中だ。装置自体も安価なため、中小の事業者による利用も可能であり、農業の6次産業化推進も期待できる。

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