研究開発・新技術部門

  • 茶葉の栽培・管理技術、飲料製造技術、健康機能の研究で、緑茶飲料市場を構築 株式会社 伊藤園
  • 乗用車感覚で操縦できる農機で、農作業の効率アップ 井関農機株式会社
  • 食物アレルギー特定原材料等25品目不使用の5年保存非常食 株式会社 大潟村あきたこまち生産者協会
  • 国産モミ米を配合した養鶏飼料「こめっ娘(こ)」シリーズ 昭和産業株式会社 昭和鶏卵株式会社
  • ESR法(抗酸化力測定法)を利用し、国産青果物の優位性を証明 Farm to Wellness倶楽部(デザイナーフーズ) デリカフーズ・グループ
  • 「ノングルテン米粉パン」を開発し、家庭で使える手軽なパックを商品化 米マイフーズ株式会社

最優秀賞

茶葉の栽培・管理技術、飲料製造技術、健康機能の研究で、緑茶飲料市場を構築 株式会社 伊藤園

所在地 東京都渋谷区本町3-47-10
電話 03-5371-7213
URL http://www.itoen.co.jp/
e-mail a-nozawa@itoen.co.jp

緑茶飲料製造のパイオニアによるバリューチェーン・イノベーション

1985年に世界で初となる缶入り緑茶を発売し、緑茶飲料市場を開拓した伊藤園。2012年の荒茶(火入れなど仕上げ工程前の緑茶)の取扱シェアは約23%に及び、単独の事業者としては最大の取扱量を誇っている。
今日に至るまで、同社は調達、製造、研究開発のそれぞれの段階で、ユニークなイノベーションを繰り返してきた。
調達段階では、生産農家をサポートし、安定した原料調達の一部を担う「茶産地育成事業」、製造段階では、味と香りを高める独自の「火入れ」技術や、製造委託先工場との連携による「高度な製造技術」、研究開発段階では、緑茶の健康保健効果に関する研究を行っている。こうした取組が緑茶の消費を伸ばし、茶葉の自給率向上にも貢献している。

ノウハウを供与して茶産地を育成

個々の茶農家との契約栽培は1970年代から続けているが、同社の看板緑茶飲料「お〜いお茶」の原料茶葉の調達において、就農者の高齢化、後継者不足などを背景に、年々生産者が減少し、茶葉の自給率も低下、安定した茶葉調達が難しくなりつつあった。こうした課題を解決するために、伊藤園は、2001年から「茶産地育成事業」の取組のひとつとして、契約栽培に加えて、地元と協力して耕作放棄地などを活用した茶産地を育成し、収穫茶葉の全量買い取りを行う新産地事業に乗り出した。新産地、契約栽培ともに年々拡大し、2012年現在、同事業の茶園面積は九州地方を中心に合計で863ヘクタール(うち契約栽培542ヘクタール、新産地321ヘクタール)に達し、生産量は日本の荒茶生産量の3%に相当する2,690トンまで増大した。
新産地、契約栽培の生産者には同社が研究、開発した施肥や病害虫予防等の農業技術を供与。現在は、摘採時期を的確に指示するリモートセンシング技術も開発している。新産地の生産者には、茶栽培が未経験の新規就農者も多いが、こうした技術が栽培管理を容易にし、茶葉の品質向上、品質安定化をもたらしている。

味と香りを高める飲料製造技術とユニークな研究開発事例

飲料製造技術にも、一貫して力を注いできた。
「お〜いお茶」の製造工程では、緑茶飲料が消費者の手元に届き、キャップを開けて飲まれるときも、よい味と香りを保てるよう、約15を超える工程の一つひとつを見直した。
たとえば、茶葉の仕上げ工程である「火入れ」では、長年の経験を持つ「茶師」が、最適な火入れを行う「新・後火仕上げ製法」を採用。また、抽出には、急須で入れるのと同様の「自然抽出」とすることで、茶葉本来の味と香りを引き出している。
こうした改善を繰り返した結果、「無糖飲料市場」としての緑茶飲料が定着し、他事業者の参入も相まって、清涼飲料水のなかでも確固たる地位を占めるまでになっている。
「お〜いお茶」は、2011年に累計販売本数200億本(500ミリリットルペットボトル換算)を記録。2013年に発売した「お〜いお茶 ぞっこん」は、茶産地育成事業の契約農家の一番茶を使用し、「新・後火仕上げ」をはじめとする独自製法を駆使した茶葉製品(リーフ)を製造して、それを緑茶飲料にも応用した製品で、味と香りにこだわりを持つ消費者から支持を集めている。
また、緑茶の健康機能にも着目し、特定保健用食品の開発を行うとともに、「緑茶摂取によるインフルエンザ予防の可能性」や、「緑茶の摂取による高齢者の認知機能低下が改善される可能性」など、健康の効能の成果発表を行っている。
伊藤園は、今後も緑茶飲料の市場拡大と茶産地育成事業の推進によって、茶葉の自給率向上に貢献したいとしている。

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優秀賞

乗用車感覚で操縦できる農機で、農作業の効率アップ 井関農機株式会社

所在地 東京都荒川区西日暮里5-3-14
電話 03-5604-7709
URL http://www.iseki.co.jp/
e-mail repre@iseki.co.jp

井関農機は、1926年の創業以来、トラクタ、耕うん機、田植機、野菜移植機、コンバインなどの農機を製造、販売してきた。従来、こうした農機は、操作に熟練を要し、使用者が限定されることが少なくなかった。こうした現状を変えるべく、操作性に優れた自動変速機能(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載した中型トラクタ「ジアス」を開発した。クラッチ操作が不要で、AT乗用車感覚で操作でき、高齢者や女性、初心者でも操縦しやすい。また、エンジンの動力をダイレクトに伝える機構であるため、動力伝達ロスが小さく、重負荷作業もスムーズに行えるのが特長だ。
作業時間の短縮、生産コスト低減効果が期待でき、ひいては国産農産物の低価格化、消費拡大に寄与すると期待されている。

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優秀賞

食物アレルギー特定原材料等25品目不使用の5年保存非常食 株式会社 大潟村あきたこまち生産者協会

所在地 秋田県南秋田郡大潟村字西4-88
電話 0185-45-2851
URL http://www.akitakomachi.co.jp/
e-mail info@akitakomachi.co.jp

「あきたこまち」の産地直送や、大潟村産の米粉や発芽玄米めんなどを製造販売している「大潟村あきたこまち生産者協会」は、東日本大震災の直後、食物アレルギーを持つ被災者が食料の調達に苦労したという話を受け、食品衛生法に基づく「食物アレルギー特定原材料等25品目」を使わず、長期保存が可能な非常食を開発した。2013年9月にカシューナッツとごまの2品目が追加され、合計27品目になったが、これにも対応している。炊き込みごはん6種、おかゆ6種、スープ3種、米粉パスタ3種の合計18種類を用意。いずれも原料の90%以上が国産だ。価格は一般的な非常食と同程度にしたことで、施設側は一般食と同様に一括購入でき、災害時にもスムーズに配布できる。また、発熱剤とセットにすることで、いつでも温かく食べられるように工夫。賞味期限は5年と長期にわたって保存できる。
本格製造は2014年2月からになるが、すでに保育所などからの受注があり、南海トラフ巨大地震の想定被災地域の自治体からも問い合わせが来ている。

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優秀賞

国産モミ米を配合した養鶏飼料「こめっ娘(こ)」シリーズ 昭和産業株式会社 昭和鶏卵株式会社

所在地 東京都千代田区内神田2-2-1
電話 03-3257-2940
URL http://www.showa-sangyo.co.jp/
e-mail satoshi_murata@showa-sangyo.jp

昭和産業、昭和鶏卵では、食料自給率の向上をめざして飼料用米活用への取組を行ってきた。従来は飼料用米を使用する際、脱穀してモミ殻を廃棄してきたが、今回、モミ米を飼料にそのまま配合した「こめっ娘」シリーズを開発した。
モミ米は繊維質が豊富で、鶏の発育に好影響を与える良質な飼料だ。しかし、粒が大きく、雛は食べることができないという課題があった。そこで、粉砕して形成加工する技術を開発し、飼料にモミ米を20%以上配合しても雛が食べられるようにした。これにより、生まれてすぐの0日齢の雛から採卵鶏まで、一貫して国産飼料用米を与えることが可能となり、飼料用米を配合した飼料を採用する養鶏場は飛躍的に増加。給餌羽数は、170万羽(配合飼料出荷数量より換算)となった。モミ米の契約数量も1,078トンと前年比189%に伸びている。
今後は、「こめっ娘」をはじめ飼料用米の取扱い数量全体で年間2万トンをめざす。

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優秀賞

ESR法(抗酸化力測定法)を利用し、国産青果物の優位性を証明 Farm to Wellness倶楽部(デザイナーフーズ) デリカフーズ・グループ

所在地 東京都足立区六町4-12-12
電話 03-3858-4831
URL http://www.fw-club.jp/
e-mail arii@t-delica.com

呼吸に伴って体内に発生する活性酸素は、人間の健康に影響を及ぼすと考えられており、活性酸素の悪影響を抑える抗酸化機能を持つ食品の探究が、近年、活発になっている。Farm to Wellness倶楽部は、キウイの抗酸化力をESR法(抗酸化力測定法)によって測定。活性酸素のうち、老化と関係が深いと考えられている「スーパーオキシド」による抗酸化力が、ニュージーランド産グリーンキウイよりも、国産キウイ品種の「さぬきゴールド」のほうが、3倍も高いことをつきとめた。
今回の研究は、かつて同じESR法を利用したマンゴーの研究に続くものだ。このときは、紫外線の強い地域で栽培されたマンゴーは、活性酸素の一種「一重項酸素」に対する抗酸化力が高いことを明らかにした。食品の販売に当たって、抗酸化力など農産物の機能性表示が容認される流れもあり、国産品種の農産物の優位性をアピールし、消費拡大を狙っていく。

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優秀賞

「ノングルテン米粉パン」を開発し、家庭で使える手軽なパックを商品化 米マイフーズ株式会社

所在地 広島県福山市藤江町762
電話 084-935-7566
URL http://ww7.enjoy.ne.jp/~maimaifoods/
e-mail maimaifoods@fkym.enjoy.ne.jp

国産うるち米の米粉のみを使用し、米粉食品に新たな価値を付与し、市場の開拓をめざしている米マイフーズは、酵素を用いた特殊技術で微細処理した米粉をベースに、さまざまな商品を開発している。
従来、米粉パンには、弾力性や粘着性を持たせるタンパク質であるグルテンが必須だったが、アレルギーを避けるため、ノングルテンの米粉パンを求める声も多かった。グルテンの代替素材を求めていたところ、健康食品原料を製造するメーカーから提案を受け、開発に着手した。その結果、コンニャクイモ由来の水溶性食物繊維であるグルコマンナンを配合することで、パン生地に適度な粘りを与えられることが判明。これによりノングルテンの米粉パンが、炊飯器やホームベーカリーで製造可能になった。そこで、米粉とグルコマンナンをセットにした「ノングルテン米粉パン 手づくりパック」を販売。さらに、品質と便利さに改良を加えたミックス粉「日本米粉純米パンミックス」を発売。驚くほどの膨らみともっちりとした弾力が特長で、リピート率も高い。国内のパンメーカーのほか、海外からの問い合わせも多く、今後さらに販路を広げていく考えだ。

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