流通部門

  • 商品開発から売場開発まで米粉を通じた食料自給率向上に向けた取組 株式会社 セブン&アイ・ホールディングス
  • 農業高校生による模擬株式会社「SUISEI-FACTORY」の取組 石川県立翠星高等学校 食品科学研究会
  • 食の安全と飼料自給率向上を訴える純国産鶏のたまご直売店の運営 たまご直売店「さくらともみじ」
  • 県内生産者の経済活動の活性化と就農率&食料自給率アップへの取組 株式会社 静鉄ストア 静農会
  • 「日本の食と漁業を守る」新水産流通システムSTTSの開発と運用 株式会社 旬材
  • 景観整備の花を利用した特産品づくり 長崎鼻B・Kネット

最優秀賞

商品開発から売場開発まで米粉を通じた食料自給率向上に向けた取組 株式会社 セブン&アイ・ホールディングス

所在地 東京都千代田区二番町8-8
電話 03-6238-3000(代表)
URL http://www.7andi.com/

米粉商品をより消費者の身近に

近年、注目を浴びる米粉だけに、その利用促進に努める大手企業の参入も目立ち始めた。なかでも、傘下に1万4,500店以上の小売店を持つ流通最大手のセブン&アイ・ホールディングスが本格的に米粉商品の普及に乗り出したことは、業界に大きなインパクトを与えた。しかも、その取組は巨大流通網を使った米粉商品の販売だけでなく、ヒット商品の開発による新規需要の創出、店頭フェアの開催や大手メーカーとの連携など多岐にわたり、米粉市場の飛躍的な拡大に貢献した。
もっとも消費者に直結した活動が2009年にスタートした「米粉うまっ。」フェアである。全国159店舗のイトーヨーカドーで開催する恒例のイベントとして位置づけられ、米粉、米粉入りカップ麺、乾麺、マカロニ、パスタ、お菓子などさまざまなジャンルの米粉商品を一堂に揃えると同時に、フード・アクション・ニッポンの活動の一環である「米粉倶楽部」との連携をはかり、専用の販促ツールを活用しながら特設コーナーを設置。さらに『おいしい米粉を食べようキャンペーン』を展開、プレゼントキャンペーンも実施した。このフェアの特集チラシでは、単に商品を掲載するのではなく、米粉の特長を生かしたレシピとセットで紹介することで、米粉の使用方法をわかりやすく訴求。これらの取組により、各商品の売り上げを著しく伸ばしている。
さらに消費者の米粉に対する意識を高めるために、売場のレイアウトも工夫。従来、から揚げ用米粉は粉類売場に、米粉パンはパン売場と、コーナー別に陳列していたが、米粉に限っては全米粉商品を1カ所に揃えたコーナーを全国のイトーヨーカドー約80店舗で常設し、米粉の消費を拡大し、食卓で日常的に使われることをめざしている。

独自の新商品開発にも力を入れる

新たな取組として期待されるのが、セブン&アイグループのプライベートブランド「セブンプレミアム」として開発したオリジナルの米粉菓子と、明治、カルビーなどとコラボレーションし共同開発した米粉商品類。これらはセブン-イレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマルなど、合計約1万4,500店舗に並べられている。
なかでもセブンプレミアムの12アイテムの菓子が好調で、2カ月で100万個以上売り上げたものもあり、累計860万個にも上った。
一口に米粉といっても、米の品種により、ビスケットに合うもの、スナックに合うもの、とそれぞれの原料によって味わいが格段に違う。そのため、原料そのものの調達にもこだわり、生産者の協力も仰いだ。
特に好評を博したのがライススナック「米粉のふんわり揚げ」。2012年2月、「たらこマヨ味」「梅味」を発売したのに続き、6月には「七味マヨ味」「チーズ味」と味のバリエーションを広げ、ファンを着実に増やしている。

米粉の風味を伝えるネーミング

また、米粉の魅力が伝わるよう、ネーミングやパッケージにも工夫をこらしている。「ザクザク食感 米粉のクッキー」、「ザクザク食感 米粉のビスケット」、「軽い食感 米粉のふんわり揚げ」、「米粉のかりかり揚げ」など、米粉を使用していることと、米粉独特の食感や風味が伝わる商品名をシズル感あふれる写真で訴求した。さらにパッケージに「米粉倶楽部」のマークを入れ、フェアの店頭POPとも連動させた。長年蓄積されたセブン&アイグループの商品開発ノウハウが駆使された、流通、売場開発までトータルな取組で、多くの人に支持されるヒット商品の創出に成功した。
今後も米粉フェア、セブンプレミアムの商品開発を継続するとともに、メーカーをはじめ、多くの企業との連携を推進し、米粉の消費拡大、日常化をめざしていくという。各メーカーにとっても、セブン&アイグループが全国規模の販路を提供する意義は大きく、米粉ビジネス全体の底上げ効果も期待されている。

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優秀賞

農業高校生による模擬株式会社「SUISEI-FACTORY」の取組 石川県立翠星高等学校 食品科学研究会

所在地 石川県白山市三浦町500-1
電話 076-275-1144
e-mail shtani@m2.ishikawa-c.ed.jp

石川県唯一の農業専門高校である翠星高等学校では、部活動の一環で模擬株式会社「SUISEI-FACTORY」を設立。地産地消の推進、食料自給率の向上、地域の素材を生かした加工食品作りの研究などを生徒たちで行っている。
具体的な取組としては、市場に出回らない規格外トマト、廃棄される柚子の搾りかすや地元産大麦「こまつむぎ」などに付加価値を与え、商品化する技術を農家や農業法人に指導することで、収穫した食品を加工して、販売するところまでを一元的に実施する“農業の6次産業化”を支援している。現在は、地元産トマトで作った業務用ピューレがレストランとの間で商談が成立しつつあり、柚子のマーマレード、こまつむぎの全粒粉を再製粉してできる製菓材料を使ったスイーツも売れ行きが順調に伸びている。また、地元産米粉の普及活動では、市内の洋菓子店やレストランとの技術交流が生まれるなど、多岐にわたる振興が期待されている。

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優秀賞

食の安全と飼料自給率向上を訴える純国産鶏のたまご直売店の運営 たまご直売店「さくらともみじ」

所在地 兵庫県姫路市花田町勅旨36-1
電話 079-253-1071
URL http://onlyone-site.com/goto-tamago/
e-mail a-kado@gotonohiyoko.co.jp

日本の民間企業で唯一、純国産鶏「さくら」と「もみじ」の“種(=遺伝子)”を保有し、育種改良をしている株式会社 後藤孵卵場。同社では、純国産鶏を通して日本の農業の活性化と自主性、食料自給率の向上を促進している。その活動内容のPRを図るため、「さくらたまご」「もみじたまご」の直売店を運営。こうした同社の“地産地消・国産国消”の意識を国内に広めるべく、関西エリアで純国産鶏飼育農家へのPR活動も実施している。
また、養鶏飼料に関しても積極的に取り組んでいて、「エコフィードの発酵利用」を掲げている。食物残渣(米糠、おから、しょう油粕など)を利用するエコフィードは、環境負荷が少ないものの、保存性が悪く、処理コストもかかるといった問題点はあるが、発酵させることでそれらの問題を解消しようというもの。それに伴い、賛同養鶏場への発酵機器の斡旋や飼料配合の技術的ノウハウの向上にも取り組み、飼料の自給率向上が期待されている。

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優秀賞

県内生産者の経済活動の活性化と就農率&食料自給率アップへの取組 株式会社 静鉄ストア 静農会

所在地 静岡県静岡市葵区古庄2-16-6
電話 054-267-6816
URL http://www.s-store.co.jp/2012_04_torikumi/seinoukai.html
e-mail seisen5@s-store.co.jp

静鉄ストアと契約する生産農家約240人で構成する静農会では、農薬を極力減らし、安全・安心でおいしい商品を作り出している。静岡県内の生産者と、栽培農法や経営管理などの情報を共有。地元スーパーの店舗に地場農産物直売コーナーを設置して、消費者と極めて近い位置で野菜の販売を行っている。地域経済の活性化や地産地消の推進を目標とした生産管理体制の確立を図っている。
静農会で販売する商品はすべて、生産者名が印字され、陳列も生産者が行っている。そうすることで、生産者が直接、消費者の意見を聞くことができたり、生産者が消費者に、農家ならではの野菜レシピを提供したりと良好な関係性を構築している。また、青果物相場にあまり左右されることなく、適正な利益を得られるように努力する意志が生まれ、地産地消の拡大にもつながる。商品の価格設定も自ら行うため、質の良いもの、鮮度の良いものが正当な価格で取引され、再生産価格の確保を実現している。

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優秀賞

「日本の食と漁業を守る」新水産流通システムSTTSの開発と運用 株式会社 旬材

所在地 大阪府吹田市広芝町6-7
電話 06-6386-9992
URL http://www.syunzai.com
e-mail yamatsu@syunzai.com

水産物流事業の旬材は、水産、加工流通において産地情報を効率的に消費地に伝えるため、市場を経由しない新しい水産物流システム「STTS」を開発した。電子商取引の導入が遅れている水産業界では、たびたび大手企業が運用システムを開発していたが、漁業界とのネットワークが弱く機能していなかった。そこで旬材が、漁業界との緊密なネットワークを強みに独自のシステム運用の拡充に成功した。これにより、リアルタイムで産地情報を共有化し、規格外鮮魚を加工食品にするなどの販路拡充にも成功した。
ほかにも、シーフードマイスター養成や大手レシピサイトと協力体制をとるなどして、国内水産物の需要拡大を図っている。また、壊滅的な被害を受けた東北漁業の水揚げ状況をリアルタイムで消費地のスーパーや外食企業に発信し、鮮魚を直送する復興活動も継続している。このような、スピーディでローコストな輸送システムの導入によって、日本の漁業の活性化が期待される。

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優秀賞

景観整備の花を利用した特産品づくり 長崎鼻B・Kネット

所在地 大分県豊後高田市見目4060
電話 0978-54-2200
URL http://nagasakibana.bungotakada.net
e-mail nagasakibanab-knet@topaz.ocn.ne.jp

長崎鼻B・Kネットでは、耕作放棄地を再生利用する方法として、花の作付けをして「花公園」にする活動を行っている。豊後高田市の景勝地である長崎鼻の景観を見事に蘇らせた。同時に、花の種実から作る植物油の生産、販売もスタート。その販売収益は花公園整備のための資金にもなり、経済的な自立と安定も図っている。遺伝子組み換えのない純国産「ナナシキブ」を使用した菜の花油、高オレイン酸のひまわり油などは、地元の特産品となりつつあり、無駄のない循環システムが定着している。耕作放棄地の活用で地域産業の活性化を促したと同時に、土地を荒らさずにいつでも耕作可能にしておけるという利点も生まれている。耕作希望者が現れれば、スムーズに農地を渡すことができ、就農のハードルを下げることにもつながっている。
同じように耕作放棄地に頭を悩ます地域にとっても、解決の足がかりとして有効な取組だ。数年後には製油所も設置し、地域産業として定着させることを計画している。

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