研究開発・新技術部門

  • 国産米利用の米麺製造技術と製造設備の販売
  • 屋内型エビ生産システム(ISPS)
  • 新品種「うしゆたか」、「みなゆたか」の開発
  • さぬきうどん用小麦品種「さぬきの夢2000」の育成
  • 洋菓子にも使える膨らむ米粉『リ・ファリーヌ』
  • パン適性高品質小麦の安定生産とその高度利用
  • 安定同位体を用いた食品の産地判別・表示偽装防止技術の開発
  • 超高温蒸気で野菜をピューレにした「ネピュレ」
  • ナガイモを活用した抗インフルエンザウイルス組成物および機能性食品の開発
  • 過熱野菜による食べ方提案と規格外野菜等を利用した新たな商品開発
  • エコフィードを活用した高品質豚肉生産技術の開発

最優秀賞

長期的な視野に立って米麺の普及を目指す 国産米利用の米麺製造技術と製造設備の販売

藤井製麺株式会社
住所 山口県岩国市玖珂町5328
電話 0827-82-2101
mail info@okomeramen.co.jp

米を使った麺の製造機械の開発に取り組み、国内で初めて本格的に製造した藤井製麺。特許も取得した製造機械と製麺技術を広く伝えることによって、米麺の認知拡大、米の利用拡大を目指している。

米を米麺に加工して取引先に納品する際に、鍋物など米麺のおいしい食べ方のレシピも配布している。

米麺の黄金比にたどり着く

藤井製麺は、日本全体に米が余っている現状を憂い、米の消費拡大を模索。1994年より国産米を利用した米麺の開発に着手した。米麺を製造するには、何種類もの大きさの違う粉を作る必要があり、従来の小麦粉用に作られた製造機械では不可能なため、製造機械の調整、改良を重ねた。
同時に原料の研究にも着手。日本の米には炊いたときにもちっとした食感を生み出すアミロペクチンという成分が大量に含まれているが、米麺を製造すると、逆にモチモチ感が強くなりすぎるという欠点があった。そこで、麺らしい食感を得るために、米粉以外の粉を混ぜてみるなど試行錯誤を繰り返し、1998年、米粉60%、北海道産のジャガイモの粉20%、小麦粉20%という比率にたどり着いた。この「黄金比」によって、程よい歯ごたえ、米の風味、そして慣れ親しんだ小麦麺の味ともあまり隔たりのない程よい麦の風味を併せ持った麺が誕生した。
同年、「お米ラーメン」の名前で発売、国内初の米麺の本格的な販売ということで注目された。お米独自の風味を持つ麺は消費者から支持され、年間20万食売れるヒット商品になった。現在はシリーズ商品として米麺を使った冷麺、うどんも販売している。


米の外側を削り落としてから米麺に加工。さらに加熱殺菌をすることで、無添加でありながら賞味期限は6か月に延びた。

製造機械の販売へ

このヒットに、全国のJAや自治体から引き合いが相次ぎ、さまざまな県の米を使用して米麺を製造した。しかし、藤井製麺で製造できる量には限りがあり、米を送ってもらい、麺にして返すという輸送コストも問題になった。そうした問題を解決するためには、誰にでも操作できる米麺製造機を開発し、購入者がそれぞれ製麺できるようにするのが一番の近道だった。
米麺の生産量が増大すれば、認知度もあがり、消費拡大にもつながる。そう決断し、2001年、機械メーカーと手を組み新たな製麺機を開発、2003年に第1号となる機械を島根県のJAくにびきに納入した。以来、5団体に販売している。製造設備の納入にあたっては現地に赴き、設備の使用法と米麺の製造方法も併せて指導している。


狭い場所でも作業できるように、製造機械をコンパクトにすることにもこだわった。

同社には、地域農産物の消費拡大や特産品開発を目指す各地の団体から、地方産の食材と米麺を組み合わせた製品の開発依頼も寄せられている。京都の宇治茶と米粉を混ぜ合わせた米麺や、山口県岩国市の岩国レンコンと米粉を混ぜ合わせた商品などを開発し、国産農産物の消費拡大に一役買っている。また、米の消費拡大には子どもの頃から米のおいしさを知ってもらうことが必要であると考え、給食センターと協働して学校給食用の米麺の製造も行っている。


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優秀賞

環境負荷を低減し薬品を一切使用しない養殖を実現 屋内型エビ生産システム(ISPS)

株式会社 アイ・エム・ティー
住所 東京都新宿区三栄町8 第一萬寿ビル1F
電話 03-5363-6942
mail imtjapan@beach.ocn.ne.jp

今後コスト面などの改善を図り、全国的に陸上型のエビ養殖を普及させたいという。

日本はエビを年間50万トン消費しているが、その自給率はわずか5%。自給率向上のために養殖も進んでいるものの、残餌や排泄物が引き起こす水質汚染やエビの病気予防目的で投入される抗生物質などにより環境への影響が懸念されている。そこで、アイ・エム・ティーをはじめとする研究グループは、環境への影響が少ない養殖システムの研究に取り組み、世界初の「屋内型エビ生産システム」を開発した。水質、水温、給餌量を自動的にコントロールする屋内型の養殖システムは、立地条件を問わない上に、微生物の力で水を浄化する浄化装置、沈殿物回収装置などを備えるなど、一切薬品を使わないエビの養殖を実現している。
2007年には新潟県妙高市に第1号プラントを建設。2008年9月より本プラントで養殖されたエビ(バナメイ)は、中小企業地域資源活用促進法による新潟地域産品にも指定され、「妙高ゆきエビ」のブランド名で本格的な販売を開始した。

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優秀賞

青森県の気候にも耐えられる飼料用水稲が誕生 新品種「うしゆたか」、「みなゆたか」の開発

地方独立行政法人 青森県産業技術センター
住所 青森県黒石市田中82-9
電話 0172-52-4346
mail nou_souken@aomori-itc.or.jp

飼料用米の採用を検討する養鶏場も増えつつある。

輸入に依存する割合の高い家畜飼料は、食料自給率向上の意識の高まりと、近年の国際的な穀物価格の高騰などから、国産飼料への転換が求められている。青森県でも全水田の1割にあたる耕作放棄水田を利用し、飼料用稲の作付け拡大を推進したが、これまで国内で開発された品種では、夏期冷涼な青森県での安定生産は困難であった。そこで、青森県農林総合研究センター(現、青森県産業技術センター)では、収量性が高く、倒れにくく、しかも耐寒性の高い飼料用稲の開発に着手し、2008年に「うしゆたか」、2009年に「みなゆたか」を開発した。「うしゆたか」は2011年度までに150ヘクタール、「みなゆたか」は2013年度までに3000ヘクタールの作付けを目標にしている。
また、同センターのさらなる研究により、飼料用トウモロコシに替えて、飼料用米を鶏に与えることで、卵の脂肪酸が日本人の適性摂取値に近づくことが分かり、飼料用米の普及につながると期待されている。

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優秀賞

独自の選抜基準で短期間に新品種の開発に成功 さぬきうどん用小麦品種「さぬきの夢2000」の育成

香川県
住所 香川県高松市仏生山町甲220
電話 087-889-1121
mail noshikikaku@pref.kagawa.lg.jp

「さぬきの夢2000」で作ったうどんは淡黄色でつやがあり、食感も良く、県内外から高い評価を得ている。

香川県の香川県農業試験場では、さぬきうどんの原料の大半を占めるオーストラリア産の小麦を、なんとか県内で生産した小麦に替えられないものかと、1991年から品種改良に取り組んできた。まずは、さぬきうどんの特長であるなめらかさとコシ、色合いが適合しているかを見分けるため、小麦デンプンの親水性と粘りの強さを評価する独自の選抜方法を開発。また、これまでうどんに適した色を見分けるために、小麦粉に水を加えペースト状にしたもので色を推定していたが、それを改め、実際に試作したうどんをペーストにして、色を比較する手法を取り入れた。これにより、うどんに最適な小麦品種の選抜効率が格段に上がり、2000年には、さぬきうどん用の小麦品種「さぬきの夢2000」の開発に成功した。
「さぬきの夢2000」の普及にともない、香川県内で生産されるうどんの原料となる小麦粉のうち、県産小麦が占める割合は2001年の約2%から、2008年には約5%まで向上している。

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優秀賞

10年来の技術開発で米粉の利用範囲を拡大 洋菓子にも使える膨らむ米粉『リ・ファリーヌ』

群馬製粉株式会社
住所 群馬県渋川市渋川1183
電話 0279-22-3302
mail komeko@gunpun.com

新メニューも続々と開発。米粉のイメージアップ効果は大きい。

従来の米粉は粒が粗く、スポンジ生地などに利用した場合、小麦粉のように膨らまないなどの欠点があり、主に利用されるのは和菓子やせんべいにとどまっていた。群馬製粉は、そうした欠点を克服し、おいしい洋菓子に使える米粉の開発を目指し、世界的パティシエ辻口博啓氏などの協力を得て技術開発を続け、2003年、極力熱を加えずに微粉砕することでスポンジ生地などにも使える米粉「リ・ファリーヌ」を開発した。
現在、リ・ファリーヌは、スポンジ、シフォン、タルト、パイ、スコーンなどの洋菓子やパンなどに幅広く利用されているほか、2008年には、リ・ファリーヌの技術を生かして、麺用米粉「J麺」を開発。ラーメン店やイタリアンレストランなどで取り入れられている。小麦の価格高騰により米粉はその代替品として注目度も高まっており、今後のさらなる普及によって、国産米の消費アップが見込まれる。

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優秀賞

高温多湿な高知県の気候に適した小麦品種を開発 パン適性高品質小麦の安定生産とその高度利用

国立大学法人 高知大学
住所 高知県南国市物部乙200 高知大学農学部
電話 088-864-5192
mail ikatsumi@kochi-u.ac.jp

夏服姿で麦の種をまく風景はこれまで見られなかった。

小麦は通常11〜12月に種をまき、6月に収穫する作物だが、収穫期に雨が多いと病気が発生しやすく、良質で安定した小麦の栽培は難しい。とりわけ高温多湿な高知県は「小麦生産の不適当地」とされてきた。そこで、高知大学の自然科学系農学部門の石川勝美教授は、1988年から、出穂特性や耐寒性に着目して「乾燥した1月に収穫できる小麦」の開発に取り組み、2009年、夏に種をまき、1月に収穫できる小麦品種「宮高1号」「ふゆのめぐみ」の開発に成功した。“夏まき小麦”は、乾燥して冷涼な冬に収穫できるため、除草剤の散布や病害虫防除が不要になる。これによりパンに適した高品質な小麦の安定生産が実現した。
また、作付け時期が通常とずれているため、水稲跡地・畑地の有効利用が可能となり、連作障害の回避や輪作の導入にもつながると地元農業関係者の期待も大きい。現在、品種登録、商標登録を申請中。

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優秀賞

食品や農産物の新しい産地トレーサビリティ技術 安定同位体を用いた食品の産地判別・表示偽装防止技術の開発

公立大学法人 首都大学東京
住所 東京都八王子市南大沢1-1
電話 042-677-2532
mail korenaga@tmu.ac.jp

同位体比分析技術の簡易化・自動化も進めている。信頼性の高い産地表示の確立は、国産農産物の信頼性向上と利用拡大にもつながる。

首都大学東京・大学院理工学研究科では、食品・農産物の新しい産地トレーサビリティ技術を開発した。同一品種の米であっても、産地が異なると、米に含まれる炭素・窒素・酸素・水素4元素の安定同位体比が異なることに着目、これら4元素の同位体比と炭素量・窒素量をマルチダイヤグラムで表示することで、米の産地ごとの化学的特徴を視覚化することに成功した。
従来、食品・農産物の産地判別には、DNAや微量元素などが根拠として用いられてきたが、科学的な証明力に乏しく、産地偽装防止には不十分であった。しかし、同大学の取組で科学的根拠に基づいた産地表示が確立されることになり、産地偽装防止、ブランド保護、食の安全・品質管理の強力な手段と期待されている。
さらに、今後の技術開発によって、生産現場でのリアルタイムの測定や、あらゆる食品の産地・栽培・育成方法の管理・データベース化など、信頼性の高いトレーサビリティシステムの構築に寄与する新技術として注目されている。

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優秀賞

特許技術で栄養価とおいしさ、色を保つ 超高温蒸気で野菜をピューレにした「ネピュレ」

ネピュレ株式会社
住所 東京都中央区京橋2-11-6 京橋彌生ビル7階
電話 03-3561-8600
mail k.yashima@nepuree.com

ネピュレは超高温蒸気により素材を加熱圧縮するため、重量あたりの栄養成分が向上する。

ネピュレ社では、市場に出回らない規格外の農作物を、自社で開発した超高温蒸気を発生させる特許技術を使い、ピューレに加工する事業を行っている。同社の開発した技術は、細胞を壊さずにピューレにできるため、通常の熱処理で作ったピューレよりも栄養価が失われにくく、従来の野菜や果物のペースト素材の代替品として使用できる。同社はこのピューレに「ネピュレ」とネーミングし、商品化。2009年9月からは北海道産野菜を使い本格的な量産を開始した。生産調整、規格外などの理由で廃棄されていた農作物や、ヘタや皮など食品加工の段階で捨てられていた部分を利用してネピュレを生産することにより、食料自給率向上に貢献すると同時に生産農家の収入増や意欲の向上にもつながる。
また、超高温蒸気処理を行うことで、素材の糖度や色もよくなり、味の面でも高い品質を保てることから、現在、高級ホテルやレストランにも用途が広がっている。

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優秀賞

国産野菜を医学・機能性食品分野へ活用 ナガイモを活用した抗インフルエンザウイルス組成物および機能性食品の開発

国立大学法人 弘前大学青森県環境保健センター、地方独立行政法人 青森県産業技術センター 弘前地域研究所、ミリオン株式会社 )
住所 青森県弘前市文京町1(弘前大学)
電話 0172-39-3436
mail ykato@cc.hirosaki-u.ac.jp

 

豊富な農業資源を持つ青森県では、農作物に付加価値をつけ、販売促進につなげようと、2002年度から2004年度にかけて、各研究施設に協力を働きかけた。それを受け、弘前大学では、「食」と「健康」をキーワードに、県内の試験機関と共同で「県産農水産物を活用した産業振興モデル」の研究を実施したところ、ナガイモの組織中に、インフルエンザウイルスが細胞へ侵入する活動を阻害する成分が含まれていることを発見。さらに研究を進めると、インフルエンザウイルスAソ連型、A香港型、B型など人に感染する95%のウイルスに対して効果があることも判明した。
この効果に着目し、2007年度からナガイモを活用した機能性食品の開発に着手。機能性食品を扱うミリオン社などとも協力し試作を重ね、ナガイモのインフルエンザ予防成分を含むサプリメントを開発した。これらの研究、技術は国内外から注目されており、今後ナガイモの消費拡大が期待される。

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優秀賞

栄養素、うまみ、色、食感を損なわない新たな調理法 過熱野菜による食べ方提案と規格外野菜等を利用した新たな商品開発

Farm to Wellness倶楽部(東京デリカフーズ株式会社)
住所 東京都足立区保木間1-23-2
電話 03-3858-1025
mail fw@t-delica.com

提案メニューのトマトのシャーベット。消費者に評価されれば、一般家庭への普及にもつながる。

野菜はゆでる、蒸すなどの下処理をすると栄養素が水分とともに流出してしまう。東京デリカフーズでは、高温過熱蒸気で野菜に熱を瞬時に加えることで、栄養素の流出を抑える「過熱野菜」を開発した。これにより野菜本来のうまみ、色、食感、香りを残したまま調理でき、しかも殺菌や脱油、脱塩などの効果も得られる。本格的な製造・販売を2008年に開始してから、栄養素の確保はもちろん、そのまま料理に活用したり、コンフィ(ピクルス)に加工できることから、惣菜店や外食産業に利用されている。
また、サイズや見た目などで市場流通の規格外となった野菜も、栄養素やおいしさ、安全性は変わらないので、「過熱野菜」に加工すれば用途は広がる。新商品の開発も進めており、トマトやアスパラガスを使ったアイス、黄パプリカを使ったソース風ドレッシングなど、すでに外食産業や一般消費者への供給がスタートした商品もある。これらは新しい野菜の食べ方の提案となり、国産野菜の消費拡大につながると期待される。

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優秀賞

飼料と肉質の関係を解明し、品質改善技術を開発 エコフィードを活用した高品質豚肉生産技術の開発

国立大学法人 宮崎大学 入江研究室
住所 宮崎県宮崎市学園木花台西1-1
電話 0985-58-7202
mail irie@pal.miyazaki-u.ac.jp

エコフィードの製造には廃熱を活用。原料もエネルギーも従来は廃棄されていたものだ。

養豚飼料として、食品残さを活用したエコフィードが注目されている。なかなか普及が進まなかったエコフィードだが、宮崎大学農学部入江正和教授の研究グループでは、肉質の低下を防止する技術の開発に取り組むとともに、飼料と肉質の関係を解明し、改善技術を考案、1992年、日本養豚学会学術賞を受賞した。
2000年以降は、エコフィードによる肉質の高品質化にも取り組み、パンくずを主体にした飼料による霜降り豚肉の生産に成功。「蔵尾ポーク」「観音池ポークしもふり」など、銘柄豚も生み出している。
加えて、従来は海洋投棄されていた焼酎かすを主体とした飼料で長期熟成にも耐える高品質豚肉の生産にも成功している。こうした技術開発は、エコフィードによる高品質豚肉の生産は難しいとされていた壁を打ち破り、しかもこれまでの穀物主体の飼料による飼育に勝る豚肉の生産を実現したとして、高く評価されている。

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