コミュニケーション・啓発部門

  • 緑提灯
  • アル・ケッチァーノ
  • 大学における生活者教育としての「生活園芸」
  • 地産地消運動 MOT PROJECT(もっとぷろじぇくと)
  • 地元食材フェアの展開
  • 大豆100粒運動
  • 『たべものがたり』学校寄贈プロジェクト
  • 千葉県匝瑳市野栄(そうさしのさか)学校給食センター
  • 子ども向け環境教育ツール『Myべんと!』
  • 農家のこせがれネットワーク
  • 丸の内朝大学 食学部

最優秀賞

店先に灯る緑の明かりが日本の食料自給率を救う 緑提灯

緑提灯事務局
住所 茨城県つくば市小野川9-32
電話 090-3540-5403
mail midorimail@midori-chouchin.jp

国産の食材を積極的に使用している飲食店自らが、「安全な農産物」をイメージした緑色の提灯を店先に吊るす緑提灯運動。居酒屋の赤提灯から生まれたアイデアが、いまや全国各地に草の根的に広がっている。

当初は100店の加盟を目標としていたが、ユニークな試みが多くの人に受け入れられた。

居酒屋の赤提灯がヒントに

農研機構・中央農業総合研究センター所長の丸山清明さんは、北海道に赴任していた時、食料自給率が200%近い北海道でさえ、スーパーマーケットに輸入食品があふれているという現実や、道産の小麦が道内で消費されず、そのほとんどが道外で流通している実態を知り、何とか国産農産物の消費を促せないかと苦慮していた。そんな折、居酒屋に吊るされている赤提灯を目に止め、国産食材を使っている店が一目で分かれば国産農作物の消費拡大につながるはずだとひらめき、安全・安心をイメージする緑の提灯を店先に吊るすことを発案、2004年の北海道バイオ産業振興会で緑提灯のアイデアを初めて披露した。2005年、北海道小樽市に初の参加店が誕生し、緑提灯運動の第一歩を印した。


遊休農地資源を活用する和牛の生産者も参加している。

自主性を重んじた取組

参加店は星印によって5つのランクに分けられ、国産の食材を50%以上使っていれば1ツ星、さらに10%上がるごとに星が1つ増え、90%以上で最高の5ツ星を付けられるようになる。「正直を重ね、信用を得る」をコンセプトに、星の数は事務局が認定するのではなく、店主の自己申告に基づいている。
そんなお店を応援するのが緑提灯応援隊。隊員の義務は、「赤提灯の店と緑提灯の店が並んでいたら、ためらわずに緑提灯の店に入ること」の1点だけ。星数の著しい違反をした店主は、頭を丸坊主にするか、「反省」と書いた鉢巻きを締める、というユニークなペナルティが待っている。


緑提灯運動に参加する老人ホームに応援隊員が出向き、ボランティアでそば打ちを実演した。

5000店加盟へ着々

厳しいルールや規定を設けた認定制度と違って、あくまでも国産の食材を使っていることを店側が「自主的」に申告するという取り組みやすさから、緑提灯は全国に草の根的に広がっている。とりわけ、2008年に冷凍ギョーザ問題の影響で食の安全性がクローズアップされたことをきっかけに、緑提灯がさまざまなメディアに取り上げられ、運動の認知度が大きく高まり、同年だけで参加店は65店から1703店に増えた。また、当初は飲食店をターゲットに始めた運動だったが、現在は園内で生産した野菜を給食に活用している保育園や、国産い草を扱う畳店といった異業種にも取組が広がっている。2009年12月末現在、2500を超える店・団体が緑提灯運動に参加しており、事務局ではこれを5000店・団体にまで広げようと活動している。


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優秀賞

地元食材を使ったレストランで地域を活性化 アル・ケッチァーノ

アル・ケッチァーノ(奥田政行)
住所 山形県鶴岡市下山添字一里塚83
電話 0235-78-7230
mail m7b59u@bma.biglobe.ne.jp

奥田氏はスローフード協会国際本部より“世界の料理人1000人”に選ばれるなど活動は海外でも評価されている。

山形県の北西部に広がる庄内平野。一年間の気温差がときに50度にもなるという厳しい風土は、藤沢カブや民田ナスといった個性ある伝統野菜を育んできた。ところが、それらの大半は主に東京などの都会に出荷され、地元の人の口に入らないのが現実だった。それを知った鶴岡市出身のイタリアンシェフ奥田政行氏は「庄内の人たちにもっと地元の食材の素晴らしさを知ってほしい」という思いから、鶴岡市で地元の食材を使った料理講習会を始めた。そして2000年には地元食材を使ったイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」をオープンした。
開業当初こそ手に入りにくかった地元食材も、現在は農家や畜産家の協力を得て、メニューの90%以上が地元産となっている。料理の評判は口コミで全国に広まり、予約は平均2か月待ちという人気ぶりだ。
食を通して農家と地域を活性化させたモデルケースとして注目される。

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優秀賞

必修科目で有機園芸、農業と食への理解を深める 大学における生活者教育としての「生活園芸」

学校法人 恵泉女学園大学
住所 東京都多摩市南野2-10-1
電話 042-376-8211(代表)
mail sawan@keisen.ac.jp

「お弁当の日」には、野菜本来のおいしさやみんなで食べる楽しさを実感させる意図も込められている。

恵泉女学園大学では、1988年の開学時から野菜や花の栽培を実践する科目「生活園芸」を設置し、1年次の必修科目としている。1年生全員が週に1回、キャンパスに隣接した教育農場(1994年から有機園芸を開始、2001年有機JAS認証取得)で土に触れ、作物を育てることで農業を実践的に学んでいる。
この取組が2007年に文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム」に選定されたのを機に、「お弁当の日」や「食育セミナー」といった食への関心を喚起する新たな取組も始めた。月に1度の「お弁当の日」は、自分たちで育てた野菜を料理して食べることで、学生が食の安全、食の大切さを意識する機会として定着している。
卒業後にJAや有機野菜レストラン、生協など、農園芸分野、食品流通分野に就職する学生も増え、今後、学外への波及効果も期待されている。

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優秀賞

生産者や流通業界、自治体、学校との協働を全国へ拡大 地産地消運動 MOT PROJECT(もっとぷろじぇくと)

株式会社 サークルKサンクス
住所 大阪府豊中市中桜塚3-2-34 アスティオンビル
電話 06-6846-5168
mail yos-sawa@circleksunkus.jp

各地で地産食材を使った商品を展開。販促物では、「商品自体」の宣伝よりも、地産地消を推進する「姿勢」のPRを心がける。

サークルKサンクスでは、北陸地域(福井、富山、石川)の経済の活性化と地産地消の推進をコンセプトとした「MOT PROJECT」を2007年5月から続け、JAや漁協、農業法人、個人農家、自治体などと協働し、地域の食材を使ったおいしく安全なお弁当やおにぎりなどの新商品を開発している。商品はサークルKサンクスの店頭だけでなく、地元のスーパーなどでも販売し、地域食材の幅広い普及に取り組んでいる。現在、本プロジェクトは13地域28道府県にまで波及、内容的にも広がりをみせている。
また、同社では、「飼料自給率」の向上にも力を入れており、サンドイッチの製造過程で発生したパンくずを豚の飼料にし、その豚肉を使ったお弁当も製造販売している。また、高校や大学などと連携し食育活動にも取り組み、2009年には、全国50校以上の小学校や高校、大学で、地産地消と食育をテーマにした授業などの活動を展開。さらに、産学が連携しての商品開発にも取り組んでいる。

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優秀賞

全国の自治体と地域活性化包括協定を締結 地元食材フェアの展開

株式会社 セブン−イレブン・ジャパン
住所 東京都千代田区二番町8-8
電話 03-6238-3711

全国で地元食材を生かしたお弁当を販売している。写真は「北陸うまいもの幕の内弁当」。

セブン−イレブンは全国31の自治体と地域活性化包括協定を結び、さまざまな取組を実施している。2008年7月の千葉県との締結では、7月から8月の24日間、「ちば再発見! 千産千消キャンペーン」と銘打ち、千葉県産の食材を活用する販売キャンペーンを行った。千葉県のローカル鉄道、銚子電鉄とコラボレーションを図り、千葉県銚子港で水揚げされた魚介や千葉県産の野菜などを食材にした「銚子電鉄弁当」をはじめ、県産牛肉を使った牛めしやおにぎりを販売。県内のセブン−イレブン全店舗で展開した。
同様の協定を1道1府21県と7市の自治体と締結し、地産地消のモデル構築、地元食文化を活かした商品の開発、販売、PR活動などを展開。JAグループなどとの連携や食育活動へも事業展開している。

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優秀賞

お年寄りの指導で小学生が育てる、食と命の学び 大豆100粒運動

NPO法人 大豆100粒運動を支える会 信越放送株式会社、株式会社 テレビ神奈川
住所 神奈川県鎌倉市材木座1-12-25 齋藤彰方(大豆100粒運動を支える会)
電話 0467-23-8308

子どもたちは収穫した大豆でみそ作りも体験している。

ちょうど子どもの手のひらに入る100粒の大豆の種をまき、育て、収穫する「大豆100粒運動」は、生命の尊さと食物の大切さを子どもたちに実感してもらおうと料理研究家の辰巳芳子氏が提唱し、2003年にスタートした。現在は、氏が代表を務めるNPO法人「大豆100粒運動を支える会」が中心となって推進している。
運動は、まず信越放送の協力で長野県の子どもたちから始まった。農家の協力を得て、地域のお年寄りの指導のもと、大豆を育て、秋に収穫。その後、学校で豆腐やみそ作りなどを体験、「種まき」から「食べる」までを経験し、子どもたち自身が観察日記や絵日記に記録。その過程をテレビやラジオ番組で紹介するとともに、運動への参加を長野県の小学校、地域のグループに呼びかけ、大豆の種の配布も行っている。
その後、テレビ神奈川が神奈川県下でも活動を開始し、運動は新潟、東京、佐賀などにも広がりつつある。2009年10月現在、全国で約1万6000人の子どもたちが参加している。

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優秀賞

食料自給率や食文化がテーマの書籍を刊行し、約4万校に 『たべものがたり』学校寄贈プロジェクト

株式会社 ダイヤモンド社
住所 東京都渋谷区神宮前6-12-17 ダイヤモンドビル
電話 03-5778-7770
mail info@mirai-tosyositu.jp

「ご当地食材でお弁当を作ろう」と呼びかける企画も実施。地域の食材を使ったお弁当のレポートを募集した。

ダイヤモンド社では、多くの環境先進企業の協力を得て、地球環境をテーマに書籍を刊行し、学校へ寄贈する活動を2003年から実施している。2009年に刊行した『たべものがたり』は、食物の生産から食卓に並ぶまでの流れや日本の食料自給率の現状、日本の食文化をイラストを多用して小学生にも分かりやすく解説している。小、中、高校、高等専門学校や聾学校、養護学校など全国3万9422校、都道府県および教育委員会に寄贈し、食の問題を考えるきっかけとして道徳や社会科授業の副教材として役立てられている。また、一般書店での販売も行っている。
2007年に開設されたプロジェクトホームページ『未来図書室』では、これまでの取組を発信するほか、全国の教育の現場から募集した寄贈書籍を活用した授業の実施例も掲載し、教育現場における食育活動をサポートしている。

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優秀賞

生産者と共に地場産食材の給食に取り組み、食育も実践 千葉県匝瑳市野栄(そうさしのさか)学校給食センター 千葉県匝瑳市教育委員会 給食室(野栄学校給食センター)

住所 千葉県匝瑳市堀川5651
電話 0479-67-4572
mail n-ksk@city.sosa.lg.jp

生産者から届けられる新鮮な食材。

千葉県匝瑳市野栄学校給食センターでは、食育活動の一環として、地場産食材を使った給食メニューの開発に取り組んでいる。2001年に千葉県で初めて発芽玄米を取り入れたのに続き、地場産の野菜を増やしたいと地元農家に協力を働きかけた。現在、30以上の生産者、団体と連携し、給食メニューに米、肉、魚、卵、野菜、果物、調味料など68品目の地場産の食材が用いられるまでになった。管理栄養士らが農家を回って集めた新鮮な食材を、本来の味わいを生かしてメニューに取り入れ、子どもたちに伝えている。
また、農業や野菜に関する生産者の話を給食便りに掲載。子どもたちや保護者に地元の食材の魅力を訴え、地域全体の地産地消の気運を高める取組を行っている。2007年には地元の食材を使った自慢の給食を競う「全国学校給食甲子園」に参加し、高い評価を得て見事優勝。同センターの取組が広く知られるきっかけになった。
そのほか、米粉の普及を図って、地元生産者グループや加工会社と共同で、学校給食向けの米加工食品も開発している。

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優秀賞

おかずを詰め合わせてボタンを押すと自給率を表示 子ども向け環境教育ツール『Myべんと!』

東京ガス株式会社 リトルスタジオインク株式会社
住所 東京都荒川区南千住3-13-1 千住テクノステーションA館5F
(東京ガス株式会社)

2008年度のエコプロダクツ展で好評を博したのに続き、2009年のキッズデザイン賞も受賞。

東京ガスは環境教育の一環として、小学校低学年の子ども向け環境教育ツール「Myべんと!」をリトルスタジオインクと共同で開発、2008年からホームページ上で公開している。「Myべんと!」は58種類のおかずと鶏そぼろや梅干しごはん、のりごはんなど11種類のご飯メニューを選んで、画面上でオリジナルのお弁当を作りあげるシミュレーションゲーム。お弁当ができあがると、お弁当の費用、カロリーをはじめ、お弁当ができるまでに排出されるCO2の量が表示される。2009年からは、食育の観点が追加され、お弁当に使われている野菜や肉それぞれの自給率、お弁当全体の自給率、主なおかずの栄養素、お弁当全体の栄養バランスが分かるようになった。
作ったお弁当はいくつでもホームページ上に登録でき、それぞれを比較することで、どんなお弁当を作ると食料自給率が高くなるか一目で分かるようになっている。
また、2009年10月には日本の食文化を海外の人にも啓発しようと、英語版「My Bento!」も開始した。

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優秀賞

農業の魅力を伝え「リファーム(帰農)」を促進 農家のこせがれネットワーク

NPO法人 農家のこせがれネットワーク
住所 東京都千代田区一番町17-6 一番町MSビル5F
mail info@re-farm.jp

生産者と消費者がふれ合うイベントで、自分で育てた野菜を販売するこせがれも。

「農家のこせがれネットワーク」は、農家出身ながら都会に出て働く農家の“こせがれ”を中心に農業従事者、農業に関心の高い一般消費者たちが集まるネットワーク。現在、メールマガジン登録者は約2500名で、イベントなどを通して、意見交換している。農業従事者が農作物のブランド化の成功例やノウハウを伝えることで、農業に対する魅力や期待感を喚起し、実家の農業を継ぐよう後押しをしている。また、農家と消費者の交流を目的とした農業体験ツアーを実施しており、農業の現状を知ってもらうことを通して、国産野菜への関心を高め、直売へとつなげる働きかけも行っている。
2009年には、東京・六本木にレストラン「六本木農園」をオープン。会員たちが育てた農作物を料理に用い、生産者が来店者に直接野菜の魅力を語る「六本木農園ライブマルシェナイト」などさまざまなイベントも開催している。イベントで出会った有名パティシエ(菓子職人)と年間契約するなど、ネットワークを活用して活躍する農家も誕生している。

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優秀賞

出勤前に食と農を学ぶ社会人向け講座 丸の内朝大学 食学部

丸の内朝大学企画委員会 大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会、エコッツェリア協会(一般社団法人 大丸有環境共生型まちづくり推進協会)、NPO法人 大丸有エリアマネジメント協会
住所 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸ビル10F エコッツェリア内
(丸の内朝大学企画委員会)
電話 03-6266-9400
mail info@asa-univ.jp

田植え体験には、農業に興味を持つ若い女性の姿も目立つ。

朝型ライフスタイルの啓発活動として、東京・丸の内で始業前の時間に開講されている市民講座「丸の内朝大学」は、食や農業などをテーマにした「食学部」を設置している。2009年4月に開講した第1期では、話題の料理研究家を講師に迎え、日本の伝統的な食生活や料理を講義する「マクロビオティック・フード・コンシェルジェ養成・検定講座」を実施。クラスを終了した受講生が千葉県南房総市の規格外野菜を使ったお弁当の販売を始めるなど、講座の受講が新たな活動のきっかけになったと注目された。
また「農業クラス」では、毎回さまざまな農業従事者を講師に迎え、「農業の魅力」「農薬について」「食品偽装の問題について」といった農業や食に関する講義を行うほか、「田植え体験」や農場での「国産豚を使ったバーベキュー」などのフィールドワークを実施。農業従事者の生の声が聞け、日本の農業の現状と国産食材への関心も高まると好評を博している。

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